2011年 12月 14日
種々の甘味品前摂取のインクレチン分泌、胃排出、食後血糖におよぼす効果 |
Effects of different sweet preloads on incretin hormone secretion, gastric emptying, and postprandial glycemia in healthy humans
Am J Clin Nutr 2012 published ahead doi:10.3945/ajcn.111.021543
背景:栄養素の前摂取はGLP-1、GIPの分泌を促進し、胃排出を遅延させ、食後の血糖上昇を抑制する。甘味品の前摂取はナトリウム/ブドウ糖共輸送体1(SGLT1)あるいは甘味受容体を介してこれらの効果をもたらす可能性がある。
目的:4種の甘味品前摂取のGLP-1、GIP分泌、胃排出、および、食後血糖に対する効果を検討した。
方法:10人の健常者で4種甘味品の効果を検討した。13Cオクタン酸混合マッシュポテト摂取15分前に40gブドウ糖、40gタガトース/イソマルト混合物(TIM)、40g3-Oメチルブドウ糖(非代謝性ナトリウム/ブドウ糖共輸送体1基質)、あるいは60mgスクラロースを前投与した。血中ブドウ糖、総GLP-1、総GIP、インスリンおよび胃排出を測定した。
結果:ブドウ糖および3-Oメチルブドウ糖は食前にGLP-1およびGIP分泌を促進したが、TIMおよびスクラロースは促進しなかった。全体的な食後GLP-1分泌は、ブドウ糖、3-Oメチルブドウ糖およびTIM前処置により、スクラロース前処置に比し有意に大きかった。食後60分以降では他の前摂取に比し、TIMでGLP-1分泌がより増大した。
食後30分までではブドウ糖前処置により最も血糖およびインスリンが増加した。胃排出は3-Oメチルブドウ糖およびTIMの前処置により最も遅延した。
結論:健常者では、代謝性、非代謝性にかかわらずSGLT1基質によりGLP-1、GIP分泌が促進され、胃排出が遅延したが、人工甘味料スクラロースは効果を示さなかった。難吸収性甘味料TIMは、恐らく腸内に長くとどまるため、遅延性GLP-1分泌をもたらしたが、遅延性GIP分泌はもたらさなかった。今回の知見は前摂取による血糖コントロール改善のために利用可能である。
解説>脂肪や蛋白質の前摂取はGLP-1分泌の刺激や胃排出の遅延により、2型糖尿病の食後血糖上昇を抑制します。したがって、日本の食事においては、脂肪や蛋白質に富む副食から先に摂取し、最後に糖質に富む主食を摂取することで、食後血糖の上昇を抑制することができると考えられます。今回の研究では体内で代謝されないSGLT1基質である3-Oメチルブドウ糖やほとんど吸収されない甘味料(TIM)も、前投与すると食後血糖の上昇を抑制することが示され、臨床応用の可能性も考えられるとのことです。
Am J Clin Nutr 2012 published ahead doi:10.3945/ajcn.111.021543
背景:栄養素の前摂取はGLP-1、GIPの分泌を促進し、胃排出を遅延させ、食後の血糖上昇を抑制する。甘味品の前摂取はナトリウム/ブドウ糖共輸送体1(SGLT1)あるいは甘味受容体を介してこれらの効果をもたらす可能性がある。
目的:4種の甘味品前摂取のGLP-1、GIP分泌、胃排出、および、食後血糖に対する効果を検討した。
方法:10人の健常者で4種甘味品の効果を検討した。13Cオクタン酸混合マッシュポテト摂取15分前に40gブドウ糖、40gタガトース/イソマルト混合物(TIM)、40g3-Oメチルブドウ糖(非代謝性ナトリウム/ブドウ糖共輸送体1基質)、あるいは60mgスクラロースを前投与した。血中ブドウ糖、総GLP-1、総GIP、インスリンおよび胃排出を測定した。
結果:ブドウ糖および3-Oメチルブドウ糖は食前にGLP-1およびGIP分泌を促進したが、TIMおよびスクラロースは促進しなかった。全体的な食後GLP-1分泌は、ブドウ糖、3-Oメチルブドウ糖およびTIM前処置により、スクラロース前処置に比し有意に大きかった。食後60分以降では他の前摂取に比し、TIMでGLP-1分泌がより増大した。
食後30分までではブドウ糖前処置により最も血糖およびインスリンが増加した。胃排出は3-Oメチルブドウ糖およびTIMの前処置により最も遅延した。
結論:健常者では、代謝性、非代謝性にかかわらずSGLT1基質によりGLP-1、GIP分泌が促進され、胃排出が遅延したが、人工甘味料スクラロースは効果を示さなかった。難吸収性甘味料TIMは、恐らく腸内に長くとどまるため、遅延性GLP-1分泌をもたらしたが、遅延性GIP分泌はもたらさなかった。今回の知見は前摂取による血糖コントロール改善のために利用可能である。
解説>脂肪や蛋白質の前摂取はGLP-1分泌の刺激や胃排出の遅延により、2型糖尿病の食後血糖上昇を抑制します。したがって、日本の食事においては、脂肪や蛋白質に富む副食から先に摂取し、最後に糖質に富む主食を摂取することで、食後血糖の上昇を抑制することができると考えられます。今回の研究では体内で代謝されないSGLT1基質である3-Oメチルブドウ糖やほとんど吸収されない甘味料(TIM)も、前投与すると食後血糖の上昇を抑制することが示され、臨床応用の可能性も考えられるとのことです。
by kamikubo_clinic
| 2011-12-14 18:43
| 炭水化物