2013年 07月 23日
高GI食が摂食関連脳部位血流におよぼす影響 |
Effects of dietary glycemic index on brain regions related to reward and craving in men
Belinda S Lennerz, David C Alsop, Laura M Holsen, Emily Stern, Rafael Rojas, Cara B Ebbeling, Jill M Goldstein, and David S Ludwig
AJCN. First published ahead of print June 26, 2013 as doi: 10.3945/ajcn.113.064113.
側坐核を中心とする中脳辺縁系のドパミン作動性神経は報酬・欲求において中心的な役割を果たし、快楽的な摂食行動に関与していると考えられています。動物実験において、側坐核のドパミン含有量は、通常食に比し、嗜好的・美味な食餌後に、より多く増加することが示されています。ヒトにおいては、肥満者でこの部位のドパミン受容体が減少していることが示されています。
Glycemic index(GI)は炭水化物含有食品の摂取後2時間までの血糖上昇を表す指標です。肥満者において、高GI食品摂取3-5時間後には、血糖が低下することが示されています。この血糖低下は、空腹感、過食、さらに、急速に血糖を上昇させる再度の高GI食品の嗜好につながり、過食の悪循環を誘発する可能性が考えられます。今回、カロリーや三大栄養素配分を同一に調整した高および低GI食品摂取後に機能的脳画像検査(fMRI)が行われました。
背景: 食事の質は摂食行動に影響を与えますが、カロリーとは無関係な食事の質が与える影響の機序は不明です。
目的: glycemic index(GI)が食後の脳機能に与える影響を検討した。
デザイン: 18~35歳の肥満者12名において、カロリー、三大栄養素、味が同様な高および低GI食を別々の機会に摂取させた。摂食4時間後に機能的脳画像検査(fMRI)にて脳局所血流量を測定した。
結果: 摂食後2時間後までにおいて、血糖曲線下面積は、高GI食で低GI食の2.4倍であった。摂食4時間後では、高GI食において血糖は有意に低値(85±2 mg/dLと95±3 mg/dL、P=0.005)で、空腹感も有意に大きかった(P=0.04)。この時点において、右側坐核を中心とする領域での脳活動が高GI食で有意に大きかった(P=0.0006)
結論: 次の食品摂取に重要と考えられる時間帯である高GI食摂取4時間後において、血糖が低下、空腹感が増加し、報酬・欲求に重要な役割を果たす脳領域の活動が亢進した。
解説> 著者は、現在の米国において、朝食時にベーグルや無脂肪クリームチーズなど高GI食が摂取されていることを挙げ、本研究の実際的意義を示唆しています。
なお、論文のデータを見ると、血糖は2時間目以降で高GI食で低値、血中インスリンは3時間目以降で高GI食で軽度低値です。一方、空腹感は摂取30分後から、一貫して、高GI食で高値傾向となっており、空腹感と血糖、インスリン、脳活動とは時間的経過が必ずしも一致していません。
Belinda S Lennerz, David C Alsop, Laura M Holsen, Emily Stern, Rafael Rojas, Cara B Ebbeling, Jill M Goldstein, and David S Ludwig
AJCN. First published ahead of print June 26, 2013 as doi: 10.3945/ajcn.113.064113.
側坐核を中心とする中脳辺縁系のドパミン作動性神経は報酬・欲求において中心的な役割を果たし、快楽的な摂食行動に関与していると考えられています。動物実験において、側坐核のドパミン含有量は、通常食に比し、嗜好的・美味な食餌後に、より多く増加することが示されています。ヒトにおいては、肥満者でこの部位のドパミン受容体が減少していることが示されています。
Glycemic index(GI)は炭水化物含有食品の摂取後2時間までの血糖上昇を表す指標です。肥満者において、高GI食品摂取3-5時間後には、血糖が低下することが示されています。この血糖低下は、空腹感、過食、さらに、急速に血糖を上昇させる再度の高GI食品の嗜好につながり、過食の悪循環を誘発する可能性が考えられます。今回、カロリーや三大栄養素配分を同一に調整した高および低GI食品摂取後に機能的脳画像検査(fMRI)が行われました。
背景: 食事の質は摂食行動に影響を与えますが、カロリーとは無関係な食事の質が与える影響の機序は不明です。
目的: glycemic index(GI)が食後の脳機能に与える影響を検討した。
デザイン: 18~35歳の肥満者12名において、カロリー、三大栄養素、味が同様な高および低GI食を別々の機会に摂取させた。摂食4時間後に機能的脳画像検査(fMRI)にて脳局所血流量を測定した。
結果: 摂食後2時間後までにおいて、血糖曲線下面積は、高GI食で低GI食の2.4倍であった。摂食4時間後では、高GI食において血糖は有意に低値(85±2 mg/dLと95±3 mg/dL、P=0.005)で、空腹感も有意に大きかった(P=0.04)。この時点において、右側坐核を中心とする領域での脳活動が高GI食で有意に大きかった(P=0.0006)
結論: 次の食品摂取に重要と考えられる時間帯である高GI食摂取4時間後において、血糖が低下、空腹感が増加し、報酬・欲求に重要な役割を果たす脳領域の活動が亢進した。
解説> 著者は、現在の米国において、朝食時にベーグルや無脂肪クリームチーズなど高GI食が摂取されていることを挙げ、本研究の実際的意義を示唆しています。
なお、論文のデータを見ると、血糖は2時間目以降で高GI食で低値、血中インスリンは3時間目以降で高GI食で軽度低値です。一方、空腹感は摂取30分後から、一貫して、高GI食で高値傾向となっており、空腹感と血糖、インスリン、脳活動とは時間的経過が必ずしも一致していません。
by kamikubo_clinic
| 2013-07-23 05:57
| 炭水化物