2012年 12月 11日
魚類、長鎖n3多価不飽和脂肪酸摂取と脳血管障害リスク:メタ解析 |
Association between fish consumption, long chain omega 3 fatty acids, and risk of cerebrovascular disease: systematic review and meta-analysis
Rajiv Chowdhury, Sarah Stevens, Donal Gorman, An Pan, Samantha Warnakula, Susmita Chowdhury, Heather Ward, Laura Johnson, Francesca Crowe, Frank B Hu, Oscar H Franco
BMJ 2012;345:e6698 doi: 10.1136/bmj.e6698
心疾患予防のため魚の摂取が推奨されています。魚、特に青魚は長鎖n3多価不飽和脂肪酸、主にEPAとDHA、を含有し、これらの脂肪酸が不整脈、内皮機能異常、血中中性脂肪および炎症を減少・改善させる可能性が指摘されています。しかし、魚やこれらの脂肪酸が脳血管障害に対しどのように影響するかに関しては必ずしも明らかではありませんでした。今回、この点に関しメタ解析が発表されました。
データソース: 2012年9月までに出版された前向きコホート研究、および無作為化対照試験で、魚類およびn3脂肪酸摂取量、血中n3脂肪酸、n3脂肪酸サプリメントと脳血管障害との関連を検討したもの。
結果: 26の前向きコホート研究、12の無作為化対照試験、79400人、34817件の脳血管障害が解析対象となった。コホート研究では、週に1回以下の魚類摂取に比し、週に2-4回では脳血管障害発症リスクは0.94(95%信頼限界0.90-0.98)、週5回以上では0.88(0.81-0.96)であった。血中n3脂肪酸下位3分の1に比し上位3分の1では発症リスクは1.04(0.90-120)、摂取量下位3分の1に比し上位3分の1では発症リスクは0.90(0.80-1.01)であった。無作為化対照試験では、n3脂肪酸サプリメント投与群の発症リスクは1次予防において0.98(0.89-1.08)、2次予防において1.17(0.99-1.38)であった。魚類およびn3脂肪酸に関し、虚血性脳血管障害と出血性脳血管障害の間に明らかな差は認められなかった。
結論: 現時点において、観察研究では魚類およびn3脂肪酸摂取量と脳血管障害リスクの間には弱い逆相関が認められる。血中n3脂肪酸を測定した観察研究およびサプリメントを投与した介入試験では脳血管障害との関連は認められなかった。したがって、魚類摂取が脳血管障害リスクに及ぼす好影響は、魚類に含まれる様々な栄養素の複合効果として得られるものである可能性が考えられる。
解説> 考察では、魚類はビタミンDやB群にも富むこと、タウリン、アルギニン、セレン、カルシウム、マグネシウムなど脳血管障害と逆相関することが知られている成分にも富むことから、魚類摂取の好影響が長鎖n3多価不飽和脂肪酸のみによるものではない可能性が指摘されています。また、魚類摂取に伴い、肉などの他の悪影響を及ぼす食品摂取が減少する可能性も指摘されています。
Rajiv Chowdhury, Sarah Stevens, Donal Gorman, An Pan, Samantha Warnakula, Susmita Chowdhury, Heather Ward, Laura Johnson, Francesca Crowe, Frank B Hu, Oscar H Franco
BMJ 2012;345:e6698 doi: 10.1136/bmj.e6698
心疾患予防のため魚の摂取が推奨されています。魚、特に青魚は長鎖n3多価不飽和脂肪酸、主にEPAとDHA、を含有し、これらの脂肪酸が不整脈、内皮機能異常、血中中性脂肪および炎症を減少・改善させる可能性が指摘されています。しかし、魚やこれらの脂肪酸が脳血管障害に対しどのように影響するかに関しては必ずしも明らかではありませんでした。今回、この点に関しメタ解析が発表されました。
データソース: 2012年9月までに出版された前向きコホート研究、および無作為化対照試験で、魚類およびn3脂肪酸摂取量、血中n3脂肪酸、n3脂肪酸サプリメントと脳血管障害との関連を検討したもの。
結果: 26の前向きコホート研究、12の無作為化対照試験、79400人、34817件の脳血管障害が解析対象となった。コホート研究では、週に1回以下の魚類摂取に比し、週に2-4回では脳血管障害発症リスクは0.94(95%信頼限界0.90-0.98)、週5回以上では0.88(0.81-0.96)であった。血中n3脂肪酸下位3分の1に比し上位3分の1では発症リスクは1.04(0.90-120)、摂取量下位3分の1に比し上位3分の1では発症リスクは0.90(0.80-1.01)であった。無作為化対照試験では、n3脂肪酸サプリメント投与群の発症リスクは1次予防において0.98(0.89-1.08)、2次予防において1.17(0.99-1.38)であった。魚類およびn3脂肪酸に関し、虚血性脳血管障害と出血性脳血管障害の間に明らかな差は認められなかった。
結論: 現時点において、観察研究では魚類およびn3脂肪酸摂取量と脳血管障害リスクの間には弱い逆相関が認められる。血中n3脂肪酸を測定した観察研究およびサプリメントを投与した介入試験では脳血管障害との関連は認められなかった。したがって、魚類摂取が脳血管障害リスクに及ぼす好影響は、魚類に含まれる様々な栄養素の複合効果として得られるものである可能性が考えられる。
解説> 考察では、魚類はビタミンDやB群にも富むこと、タウリン、アルギニン、セレン、カルシウム、マグネシウムなど脳血管障害と逆相関することが知られている成分にも富むことから、魚類摂取の好影響が長鎖n3多価不飽和脂肪酸のみによるものではない可能性が指摘されています。また、魚類摂取に伴い、肉などの他の悪影響を及ぼす食品摂取が減少する可能性も指摘されています。
by kamikubo_clinic
| 2012-12-11 21:20
| 脂質